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東京高等裁判所 平成2年(行コ)54号 判決

東京都練馬区東大泉三丁目四三番四号

控訴人

岩本こと 李聖三

右訴訟代理人弁護士

佐藤義彌

右訴訟復代理人弁護士

佐藤嘉記

東京都練馬区東大泉六丁目四七番一九号

被控訴人

練馬税務署長事務承継者

練馬西税務署長

久保田實

右指定代理人

堀内明

大西享

中野百々造

安井和彦

藤村泰雄

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  控訴人の昭和四三年分ないし昭和四五年分の所得税について、被控訴人が昭和四七年八月三一日付でした更正及び重加算税賦課決定(いずれも昭和五九年三月二八日付裁決で取消された後のもの)のうち、昭和四三年分については総所得金額三二四五万五四四〇円を超える部分及び重加算税額四七六万二八〇〇円を超える部分、昭和四四年分については総所得金額五二九六万七一九一円を超える部分及び重加算税額八五九万二六〇〇円を超える部分、昭和四五年分については総所得金額四五五〇万六四六二円を超える部分及び重加算税額六九六万三〇〇〇円を超える部分を、いずれも取消す。

3  控訴費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

当事者の主張は、次のとおり付加又は訂正をするほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一四枚目表九行目の「(一)と(二)の金額」を「(一)の昭和四五年一二月三一日現在の什器備品勘定に計上すべき九〇一万七八三一円と(二)の同日現在の未払金勘定に計上すべき五九五万円」と改める。

二  同一七枚目裏三行目の「として」の次に「昭和四六年中に」を加える。

第三証拠

証拠関係は、原審記録中の証拠に関する目録記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の請求は理由がないものと判断するものであるが、その理由は、次のとおり付加又は訂正するほかは、原判決理由摘示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決三一枚目表五行目の「原告は、」の次に「貸借対照表は当該事業にとっては一個であるべきであり、刑事事件の貸借対照表とは別に民事事件用の貸借対照表を採用すべきでないとして、」を、同裏四行目の「判決は、」の次に「脱税犯罪に関する刑罰権の存否範囲を確定することにあり、本件訴訟とはその目的、手続の性質、内容を異にしているものであって、」を、同九行目の「いって」の次に「、そこで認定された貸借対照表の内容が本件訴訟手続でも正当なものであると推定されて」を各加える。

2  同四〇枚目表八行目の「原告は、」を「パチンコ営業は風俗営業としていわゆる警察許可の対象となっているが、既存の営業が譲渡されたことによるため右警察許可が円滑に得られていたこと、原告は三楽ホールを買受けた後から同ホールを取り壊す昭和四五年八月までのおよそ一年二か月余りの間営業を続けていたこと、なお、」と、同裏七行目の「一時」を「店舗の新築のため約五か月間」と各改める。

3  同五二枚裏八行目の次に行を改め次のとおり加える。

「なお、控訴人は、昭和四四年度と同四五年度とを対比してみても事態に差はないにもかかわらず、右判断による場合には所得において著しい不均衡が生じている旨主張するが、原判決添付別表3の付表二における記載内容のうち、当事者間において争いのない事実、すなわち、昭和四四年度における資産科目のうち土地及び建物(同付表の番号〈10〉、〈11〉)の資産計上額の合計が約二億四五三九万円であるのに対して、同四五年度におけるそれの合計額は約三億七八八三万円であっておよそ一億三三四四万円と大幅に増加していること、しかるに、同四四年度の負債科目のうち銀行借入金及び個人借入金(同付表の番号〈19〉、〈20〉)の負債計上額は合計約二億〇七二五万円であるのに対して、同四五年度のそれは一億七四七五万円であって三二五〇万円の減少となっており、借入金の増額をみることなく資産が著しく増加していることが指摘できるのであって、両年度において事態に差はないとみることは到底できず、右主張は理由がない。」

二  よって、控訴人の被控訴人に対する請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 川上正俊 裁判官 井上稔 裁判官石井健吾は転任につき、署名・押印をすることができない。裁判長裁判官 川上正俊)

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